学会報告&紀行文
2020年02月04日
学会旅行の思い出(鉄門編)
令和元年度 第3回JASDIフォーラム
日時:令和2年2月1日(土)13:30〜16:50
場所: 東京大学医学部教育研究棟14階 鉄門記念講堂
テーマ:「臨床における薬物相互作用評価」
1年ぶりにJASDIフォーラムに参加してきました。
これまでは曖昧だった相互作用評価が今日、「薬剤師の役割」であることが確定した。
もう言い逃れはで・き・な・い・よ(笑)。
※概要と感想についてYouTubeにアップしました!
2019年12月13日
講習会旅行の思い出(日本橋編)
医療安全管理者養成講習会(第3クール)
日時:令和元年12月13日(金)〜14日(土)
場所: ベルサール東京日本橋
1日目(12/13)
❶医療安全に求められる法的基礎知識
❷医療の質管理
❸クリティカルパスのしくみと医療安全への活用
❹地域連携の取り組み
❺医療安全の具体的な取り組み
・拡大コードシステム・CVCライセンス制度(横浜市立みなと赤十字病院)
・インシデント報告制度の改良(北里大学病院)
2日目(12/14)
❶医薬品事故防止対策
・タスクシフティング
非薬剤師(薬学生含む)への薬剤師法第19条の拡大解釈は避ける
「調剤に最終的な責任を有する薬剤師」とは誰?指示した証拠は?
・改訂マニュアル作成事務連絡後の動きと業務手順書の改訂作業における留意点
❷患者とのパートナーシップ・医療事故に関わった職員へのサポート
・ソーシャルサポートの光と影
❸防止の考え方と方法に関するトピックス
・日本病院会認定「病院総合医」
❹事故後対応・ロールプレイ
#1 家族の不信感
・専門用語の多用 ⇒「煙に巻くつもりか!」
・曖昧な説明 ⇒「良くなってきていると聞いていたのに・・・」
・不正確な告知 ⇒「どうしてはっきりしないんですか?」
・不都合な真実の後回し ⇒ 「そんな事、聞いてなかった!」
※「間」を置くことで、家族に頭の整理と質問の余裕を与える
#2 「ミスですよね?」という問い
⇒「今後十分(過失・因果関係の有無を)検討して回答します」
#3 解剖の提案の是非 ⇒ 原因究明(過失死or自然死)のため勧める
#4 「当事者を呼べ」への対応
⇒ 例外はあるが断るのが原則(ルールに則って精査の上で回答)
#5 家族の「怒り」への対処 ⇒ 特段抑える必要はない(抑えると逆効果に)
#6「救命できた可能性はあったか?」という問い
⇒ 回答可(納得しない場合は第三者の意見を求めることを提案)
#7 配布資料の範囲 ⇒ 時系列の事実関係と病理結果で十分(事前に弁護士と準備)
#8 説明場所の席次 ⇒ L字型のソファーが理想的
#9 家族の迎え方 ⇒ 玄関でお迎え(×「●時に●室に来い」)
#10 録音・録画の可否 ⇒ 録音は相手が希望すれば可(ただしこちらも録音する)
録画(や不当と思われる要求)は断っても可
【感想】
・時代と共にリスクも対策も多様化(長期のゲリラ戦)
・医療安全の「未来」を学ぶ貴重な機会
・薬剤師の「薬の責任者」としての役割を再認識
・医師のマネジメント(病院総合医への期待)
・家族への説明(ロールプレイ)の教訓
2019年11月18日
【概要と感想】第58回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
2019年11月9・10日に開催された】第58回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会についてリポートしています。
他にも動画続々UP中!病院薬剤師って素晴らしい【YouTube編】
2019年06月25日
「確証バイアス」について考えてみた話
今回は少し趣向を変えて心理学の話。
テーマは「確証バイアス」です。
「確証バイアス」とは、本当か嘘かにかかわらず今の自分の気持ちにぴったりとハマる情報を見つけると、「やっぱりそうなんだ!」と信じ込んでしまう心理のことです。
今回は「確証バイアス」の具体例とその危うさについて解説してみます。
いじめや差別、なぜやめられない? 香山リカさんが挙げる3つの理由
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2019年06月24日
【非公式】2019年度医療安全管理者養成講習会(第1クール)確認問題集
6/21・22にベルサール神保町アネックスで開催された2019年度医療安全管理者養成講習会(第1クール)に参加して来ました。
学習内容の一部を作問してみましたので公開します。
非公式のものではありますが、復習用としてご活用いただければ幸いです。
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2019年03月09日
学会旅行の思い出(春日門編)
平成30年度 第4回JASDIフォーラム
日時:平成31年3月9日(土)13:30〜16:55
場所: 東京大学医学部2号館3階大講堂
テーマ:「これからの医薬品情報とICTを考える」
ぐぉぉぉぉ、何ということだ。
ICTやAIは「クラウド型」の次世代の重要テーマ。
第3回JASDIフォーラムに強行参加するというのに、そのわずか1ヶ月後にこのテーマつか(※方言です)!
参加したいけど、行けるかなぁ。行きたいなぁ(悩)。
自費東京日帰りという強行参加でしたが、行けました!
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※bigvoice212065さん、ようこそ。もちろん大歓迎です。ブログタイトル変わってましたね。変更しときます。
2019年01月26日
学会旅行の思い出(懐徳門編)
平成30年度 第3回JASDIフォーラム
日時:平成31年1月26日(土)13:30〜16:50
場所: 東京大学医学部2号館3階大講堂
テーマ:「病院における新医薬品の評価とフォーミュラリー」
3年ぶりにJASDIフォーラムに参加できることとなった。
今や完全に市民権を得た「フォーミュラリー」とその方向性を学ぶ貴重な機会となろう。
また、「もう一つのフォーミュラリー」であるHospital Formularyの参考にもなるに違いない。
大野先生との再会も楽しみだ(→無事ご挨拶できました)。
※昨年のシンポジウムではうちの門●がお世話になりました!
ただ、今回も日帰り強行軍なので天候だけが気掛かりだ。
※概要と感想についてYouTubeにアップしました!
他にも動画続々UP中!病院薬剤師って素晴らしい【YouTube編】
2018年10月26日
羨望
N澤さんは私のメル友で県内3人目の抗菌化学療法認定薬剤師。
※ちなみに県内初は私です(笑)。
とても不思議なことだが、彼女とは過去幾多の学会で引き寄せられるようにランデブーを果たしている。
大分でも、横浜でも、博多でも、神戸でも、沖縄でも。
そして今回も。
貴重な盟友である彼女が初めて発表するというのだから、聴きに行かぬ理由などあろう筈がない(妬かれんぞね)。
で、第7会場に到着〜。
発表はPAMSを始めとする3つの取り組みにより、抗菌薬使い分け(antibiotic heterogeneity)を行い、TAZ/PIPCの使用量減少と緑膿菌の薬剤感受性の回復を達成したという内容。
兵庫医科大学(竹末先生)の方法を踏襲している訳だが、県内でそれを実践しているのは彼女の病院のみ。
先進的な取り組みも素晴らしいが、しっかりアウトカムを出している点が見事だ。
その反響は大きく、フロアからは高橋孝先生(北里大学)に加え、座長の2名の先生からも質問が続出する程だった。
その理由を自分なりに分析するに、「羨望」と結論付けた。
PDCAサイクルの重要性は誰もが理解しているところだが、組織が大きくなるにつれ難易度は増す。
それを彼女は持ち前のフットワークで知識とコミュニケーション力を磨き、長きに渡りたった一人でサイクルを回してきたのだ。
(当院も含め)当たり前のことができていない施設は非常に多い。
だからこそこの発表を聴き、羨望をもって「一体どうやって?」という疑問が溢れ出たのだろう。
彼女の偉業に感嘆するとともに、今後益々の発展に期待せずにはいられない。
※ちなみに県内初は私です(笑)。
とても不思議なことだが、彼女とは過去幾多の学会で引き寄せられるようにランデブーを果たしている。
大分でも、横浜でも、博多でも、神戸でも、沖縄でも。
そして今回も。
貴重な盟友である彼女が初めて発表するというのだから、聴きに行かぬ理由などあろう筈がない(妬かれんぞね)。
で、第7会場に到着〜。
発表はPAMSを始めとする3つの取り組みにより、抗菌薬使い分け(antibiotic heterogeneity)を行い、TAZ/PIPCの使用量減少と緑膿菌の薬剤感受性の回復を達成したという内容。
兵庫医科大学(竹末先生)の方法を踏襲している訳だが、県内でそれを実践しているのは彼女の病院のみ。
先進的な取り組みも素晴らしいが、しっかりアウトカムを出している点が見事だ。
その反響は大きく、フロアからは高橋孝先生(北里大学)に加え、座長の2名の先生からも質問が続出する程だった。
その理由を自分なりに分析するに、「羨望」と結論付けた。
PDCAサイクルの重要性は誰もが理解しているところだが、組織が大きくなるにつれ難易度は増す。
それを彼女は持ち前のフットワークで知識とコミュニケーション力を磨き、長きに渡りたった一人でサイクルを回してきたのだ。
(当院も含め)当たり前のことができていない施設は非常に多い。
だからこそこの発表を聴き、羨望をもって「一体どうやって?」という疑問が溢れ出たのだろう。
彼女の偉業に感嘆するとともに、今後益々の発展に期待せずにはいられない。
AMRアクションプランに感染症の専門家はどのように取り組むべきか?
1 市民・医療者を対象とした教育啓発活動の推進
具芳明(国立国際医療研究センター病院)
2 AMR対策サーベイランスプラットフォームの今後
早川佳代子(国立国際医療研究センター)
3 地域における抗菌薬適正使用に感染症専門家はどのように取り組むべきか
宮入烈(東京都立小児総合医療センター)
4 ソシアルネットワークで取り組むAMR 対策
賀来満夫(東北大学大学院)
シンポジウム12はAMRアクションプランへの各専門家の取り組みについて。
1はAMR臨床リファレンスセンターによる市民・医療者を対象とした教育啓発活動の紹介。
※個人的にもAMR対策は個々の病院が成果指標を達成すること以上に教育啓発活動が重視されるべきだと考えています(もし医療従事者以外も含め病院のスタッフに教育啓発が行えたなら、そしてもし各スタッフが地域の指導者となれたなら、一つの街ができる程の人口をカバーできることになるからです)。
2はAMR臨床リファレンスセンターが行うAMR対策サーベイランスプラットフォームの構築について。
来年1月からは本格稼働となる模様。
抗菌薬使用量(AUD・DOT)集計プログラム「ACAS(エイ・キャス)」についても紹介された。
3は昨年「ここまでやるか!?」と驚愕した東京都立小児総合医療センターの取り組みについて。
・日常診療の中で
・感染防止対策加算の中で
・地域医療連携の中で(開業医の抗菌薬使用量集計事業)
・情報発信(一般向けHPの開設・リーフレットの配布・SNSの活用等)
カギとなる団体〈医師会・薬剤師会〉と人物(6人に1人)を押さえることが肝要とのこと。
4は賀来先生が長年取り組まれてきた地域ネットワークについて。
「医療関連感染と市中感染を総合的にコントロールできるような体制を作るためには地域ネットワークの活用が必須」
「全てのキーは人と人との連携であり、そこから始まるネットワークをまずどう作れるか」
東北感染症危機管理ネットワークのアクションプラン(感染対策情報の共有・連携・協力支援・人材育成)、J感染制御ネットワークフォーラム・啓発動画・きっずかんせんセミナー・手洗い歌「おててテトテト」などの取り組みが紹介された。
Diagnostic Stewardship〜AMR対策における必須の概念〜
最後は三鴨先生の教育セミナー13で締め括ろう。
Diagnostic Stewardship(DS)という言葉は今回が初耳。
AS(Antimicrobial Stewardship)が「抗菌薬適正使用支援」ならば、DSは「適正な検査」を実施することで正しい診断・治療に導いていこう、という概念のようだ(「車の両輪」と表現された)。
※さすがは文学部出身の三鴨先生。新しい概念の発掘が得意だ。
序盤は薬剤耐性菌の脅威とAMR対策アクションプランについて。
私立医科大学病院感染対策協議会・AMR対策ワーキンググループが作成した「Antimicrobial stewardship の実践とその評価 第1版」および「AST活動のためのチェックリスト第1版」が紹介された。
ASTのメンバーには内科医・小児科医に加え、外科医が含まれることが望ましいとのこと(内科医ではドレナージのタイミングが判断できないため)。
「time out」という概念の紹介。
中盤はCDI(Clostridioides difficile感染症)について。
・直近の入室患者がCDIだったか否かでCDI発症リスクが変動するという報告
・4Cプロジェクト(キノロン・CLDM・ペニシリン合剤・セフェムの使用量モニタ)
・ブリストルスケールの必要性(5以上のみを検査)
終盤は迅速検査の動向について。
CDIやVREの遺伝子検査、質量分析、費用増への対策(多施設とのタッグ)。
総括:獅子奮迅
夕方までセッションは続くが、留守中の麻薬管理が気掛かりなので、少し早めに切り上げて帰路につく。
AMR対策を中心にチョイスした今回の講演の数々。
4年前の博多ほどのインパクトはなかったものの、知らなかったことも沢山聴けたので収穫は十分あった。
深刻な薬剤師不足の中、病棟薬剤師による介入を推奨していた当初のポリシーも再考せざるを得ない局面に入っている。
そんな中、当院のIST&AST薬剤師は4名と比較的恵まれている。
我々も決して楽な環境にいるとは言えないが、「獅子奮迅」の活躍が必要なのだと、今回の学会に参加してみて実感した。
ホテルのロビーでは、ジャイアンツのお膝元にも関わらず(!?)ウルトラマンレオが宿泊客を出迎えてくれていた。
今の自分の役割は、本学会のテーマでもある「次世代」の育成。
手負いのモロボシ・ダンが若獅子(レオ)を特訓するシーンがふと思い浮かんだ。
残された時間、大切にしたい。
AMR対策を中心にチョイスした今回の講演の数々。
・抗菌薬のmisuse / overuseという視点
・Diagnostic Stewardship
・time out
・tedizolid・avibactam・cefiderocolなどの新薬
・VRE感染症治療
・DAPとβ-ラクタム系薬の併用効果
・AMR臨床リファレンスセンターの提供するリソース
4年前の博多ほどのインパクトはなかったものの、知らなかったことも沢山聴けたので収穫は十分あった。
深刻な薬剤師不足の中、病棟薬剤師による介入を推奨していた当初のポリシーも再考せざるを得ない局面に入っている。
そんな中、当院のIST&AST薬剤師は4名と比較的恵まれている。
我々も決して楽な環境にいるとは言えないが、「獅子奮迅」の活躍が必要なのだと、今回の学会に参加してみて実感した。
ホテルのロビーでは、ジャイアンツのお膝元にも関わらず(!?)ウルトラマンレオが宿泊客を出迎えてくれていた。
今の自分の役割は、本学会のテーマでもある「次世代」の育成。
手負いのモロボシ・ダンが若獅子(レオ)を特訓するシーンがふと思い浮かんだ。
残された時間、大切にしたい。
2018年10月25日
バイオテロを疑う時
これは昨日のシンポジウム1(感染症の危機管理・バイオテロ対策)で配布された資料だろう。
教育セミナーのポスターと共に積み上げられていた。
※このパンフレットはバイオテロ対応ホームページ(厚生労働省研究班)からもダウンロードできます。
東京オリンピックが近付くにつれ、この手のテーマは増えていくに違いない。
AMR感染症に対する創薬促進の動向
1 新たな非臨床試験モデル(Hollow-Fiber Infection Model)の構築
石井良和(東邦大学医学部)
2 AMR 感染症に対する新規抗菌薬の評価
南博文(医薬品医療機器総合機構)
3 AMEDにおけるAMR創薬支援
藤江昭彦(日本医療研究開発機構)
4 AMR 対策のための製薬協提言
山口栄一(日本製薬工業協会)
シンポジウム2は新規抗菌薬の創薬がテーマ。
1は非臨床試験モデル・HFIMについて。
AMR対策アクションプラン(抗菌薬の開発促進策の検討・実施)の一環で非臨床PK/PD試験による省力化が試みられている。
本講演ではHFIMの仕組み・期待されるアウトカム・今後の展望について紹介された。
2はPMDAの取り組みについて。
「未承認薬迅速実用化スキーム」や「抗菌薬の臨床評価方法に関するガイドライン」、多剤耐性肺結核治療薬・デラマニドの審査実例などが紹介された。
3はAMED(日本医療研究開発機構)のAMR創薬支援について。
AMEDによる「創薬ブースター」という支援事業は、アカデミア発の創薬研究における「死の谷」を埋め、次の実用化段階へと進める橋渡し機能を担っている。
4は製薬協からの提言について。
「創薬ビジョン2025」「AMR対策の啓発(STOP AMR)」「AMR対策の研究開発促進策に関する提言」などの取り組みについて紹介された。
本邦初公開の「STOP AMR」啓発動画も上映された(いいね! )。
耐性菌感染症の治療
1 治療に難渋したMRSA血流感染症の一例
鈴木博也(東北大学病院)
2 抗MRSA 薬の適正使用を極める〜人工関節周囲感染に対するAST の介入戦略〜
三木誠(仙台赤十字病院)
3 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)感染症
嵯峨知生(秋田大学医学部附属病院)
4 バンコマイシン耐性腸球菌感染症の治療
長尾美紀(京都大学)
シンポジウム4は耐性菌感染症の治療について。
1はMRSA血流感染症の治療難渋例の紹介(あるある)。
VCM⇒低感受性化(MIC=2μg/mL)⇒TEIC⇒菌陰性化せず⇒TEIC+DAP⇒低感受性化⇒ABK+LZD⇒血小板減少⇒ABK+ST合剤
2は人工関節周囲感染症の治療について。
起因菌はブドウ球菌(CNS・黄色ブドウ球菌)が大半(耐性菌では治療成功率低下)。
治療法は二期的再置換術(人工関節を抜去⇒セメントスペーサー留置⇒感染の鎮静化⇒再置換)が基本。
発表者の施設ではセメントスペーサーにはVCM、感染症治療にはDAP(8mg/kg〜)を用いている。
予防が第一であることは言うまでもない(見落としはないか?)。
3はCRE感染症の治療について。
治療法は未確立だが併用療法が基本。
カルバペネム(3〜4時間 or 持続点滴)を含む併用が推奨される。
新規β-ラクタマーゼ阻害薬AVI(avibactam)は、KPC・ESBL・AmpCは阻害するがIMP(クラスB)には無効であり、本邦での存在意義は微妙。
ただ、AZTはクラスBに有効(ESBLは無効)であるため、CAZ/AVI+AZTのような併用が有効かもしれない。
cefiderocol(S-649266)は「トロイの木馬」のようにFe3+と錯体を形成して菌体内に取り込まれ、メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌に対しても抗菌活性を持つ。
4はVRE感染症の治療について。
※VREはもちろん、腸球菌感染症の治療法に関する話を聴くことは稀。初めて聞く知見が多かった。
・ペニシリン系薬は腸球菌に殺菌的に作用しない(PBPsへの親和性が低い等の理由から)。
・シナジー効果(細胞壁透過性改善)を期待してβ-ラクタム系薬にアミノグリコシド系薬が併用されることが多いが、AMKにはシナジー効果がない(使用するならGMかSM)。
・心内膜炎にDAPを使用する場合、用量は8〜12mg/kg、(耐性であっても)ABPC併用を検討してもよい。
・尿路感染症にはABPC(AMPC)(尿中で高濃度となりMICを凌駕する)・FOM(faecalisでもfeciumでも)・LZD(30%は未変化体で排泄)・DAPを使用(キノロン系薬単剤は低濃度のため推奨されない)。
最後にVRE保菌の骨髄移植患者の症例が提示された。
敗血症のリスクは増加するものの生存率に影響はないこと(移植を断念する必要なし)、経験的治療の有無は予後に関係ないこと(ただ、敗血症の際は迅速に投与開始)、LZDよりもDAPが推奨される(LZDは血小板減少により生着率低下)ことが紹介された。
MRSA感染症の治療戦略
教育セミナー1はMRSA感染症の治療戦略について。
≪DAPとβ-ラクタム系薬の併用効果≫
DAP長期曝露はVCMの感受性を低下させる(逆も同様・細胞壁の肥厚?←PBP-1発現)
⇩
β-ラクタム系薬(特にカルバペネム系)の併用はPBP-1発現(細胞壁の肥厚)を防いでいる?
≪TLD(Tedizolid・商品名:シベクトロ)の特徴≫
・血小板減少の頻度が少ない(ミトコンドリアへの影響が少ない)
・LZDより抗菌力が強い(1〜2管分MICが低い)。
・耐性化が遅い(LZDはMSSAの低感受性化が早い⇒Empiricに使用すべきではない)
・難点は現時点では皮膚軟部組織感染症しか適応がない点。
≪ST合剤の薬剤感受性≫
・小型変種 (small colony variants)によるヘテロ耐性が知られており、感受性結果を過信しないこと。
≪MRSA肺炎≫
・検出菌の2/3が定着であり、抗MRSA薬を使用せずに治癒している例多い。
・保菌か否かの見極めが重要。ただし、菌血症合併例は治療対象とする。
≪MRSA菌血症≫
・バンドル(ソースコントロール・心エコーによるIEの除外・Empiric therapy・血培再検等)の遵守。
≪MRSA心内膜炎・カテーテル感染≫
・バイオフィルム浸透性はDAP>LZD>>VCM。
≪MRSA骨髄炎・骨感染症≫
・近年、黄色ブドウ菌も細胞内増殖することが認められ、「細胞内」移行性が良好なLZD・RFP・CLDMの位置付けが高まっている。
≪MRSA皮膚軟部組織感染症≫
・組織移行性の高いLZDが有利。
会員懇親会
これで2日目のプログラムも終了。
※5時台は部屋でドラフト会議に目が釘付け(近本、新人王&盗塁王、絶対取るんやぞ!)。
少し遅れて会場に着くと、ヒロPくんもまだ来ていなかった。
二人とも疲れが残っているみたいだ。
ローストビーフ、にぎり寿司、ふかひれラーメン・・・
ひたすら食べるだけ食べて、速攻でお開きとした(残念ながらフォアグラ丼は今回はなかった)。
この演奏が始まった辺りで撤退〜。
※5時台は部屋でドラフト会議に目が釘付け(近本、新人王&盗塁王、絶対取るんやぞ!)。
少し遅れて会場に着くと、ヒロPくんもまだ来ていなかった。
二人とも疲れが残っているみたいだ。
ローストビーフ、にぎり寿司、ふかひれラーメン・・・
ひたすら食べるだけ食べて、速攻でお開きとした(残念ながらフォアグラ丼は今回はなかった)。
この演奏が始まった辺りで撤退〜。
2018年10月24日
学会旅行の思い出(水道橋編;1日め)
第65回日本化学療法学会東日本支部総会
第67回日本感染症学会東日本地方会学術集会
会期:10月24日(水)〜26日(金)
会場:東京ドームホテル
テーマ:「次世代へ繋げよう感染症・化学療法〜症例から始まる新たな展開〜」
西新宿以来、1年ぶりに参加できることとなった(早いなぁ)。
水道橋は5年ぶりだ。
「次世代」のヒロPくんとサシで呑むのも楽しみだ。
抗菌薬のmisuse / overuse
1.各論
1)高齢者肺炎における抗菌薬のmisuse / overuse
吉澤定子先生(東邦大学医学部)
2)尿路感染症における抗菌薬のmisuse / overuse
盒供〜鐇萓検併ニ攬絏並膤悵絣愽堯
3)腎機能障害患者の投与設計
松元一明先生(慶應義塾大学薬学部)
2.事例検討
第48回抗菌薬適正使用生涯教育セミナーは「抗菌薬のmisuse / overuse」という、ASTとしては何とも興味深いテーマだった。
1は高齢者肺炎(特にNHCAP)について。
疫学と重症度(A-DROP)評価を踏まえてmisuse / overuseを回避すべきである。
〇埣翡抉雖⊇儻綰抉雖NHCAPそ末期の症例が提示された。
2は尿路感染症について。
無症候性細菌尿への対応が中心。
妊婦と泌尿器科的な処置前を除き、抗菌薬を投与しても尿路感染症の発症を予防できない。
妊婦は未治療だと腎盂腎炎・早産・低体重児のリスクが増加する。
むしろ接触感染予防策の方が重要。
抗菌薬を就寝前に服用すると尿路感染症を予防できるが、副作用や耐性菌のリスクがあるため、クランベリージュース(酸っぱい!)が推奨されることもある。
一般的な治療期間を超えても治癒しない場合は尿路感染症以外の原因を疑う。
E.coli(ESBL)にβ-ラクタマーゼ阻害剤・FRPM・STFX・FOM(1g×3回×2日間)が有効である可能性(n数少ないが・・・)。
3は腎機能障害患者の投与設計について。
CEZとMEPMを題材に、尿中未変化体排泄率を元に投与量・投与間隔を計算する方法が紹介された(なるほど!)。
それ以降は「MRSA感染症の治療ガイドライン改訂版2017」に沿った内容。
事例検討はゝ淦単純性腎盂腎炎右結石性腎盂腎炎・敗血症性ショック5淦肺炎で抉蟲絛歙髄膜炎・侵襲性肺炎球菌感染・急性肺炎についてだった。
しかし、正答率が誤答率を上回って安堵してる私って・・・。
念願のミルクワンタン
ヒロPくんと待ち合わせて有楽町に繰り出した。
向かうは3年前に訪れた鳥藤。
この店には「宿題」があって、前回は満腹で肝心のミルクワンタンが食べられなかったのだ。
さて、今回こそはたどり着けるのか?
東京駅八重洲口から南下、暗闇の中、ガード下を進むと鳥藤が見えてきた。
何とご主人はたった一度しか訪れたことのない私のことを覚えてくれていた。
今回も早出(!?)の奥さんに加え、カウンター左の席には「居酒屋放浪記」で吉田類さんと言葉を交わしたと思しき「旧都庁組」のご常連もいて、和気あいあいとした会話を楽しんだ。
もちろんヒロPくんとも腹を割った話をした(初めてだね)。
そしてようやく・・・
念願のミルクワンタンにありつけました〜(感動)。
戦後、国の統制で米の入手が困難だったことから考案されたというミルクワンタン。
昭和の記憶が風化しつつある中、「次世代」のヒロPくんをこの店に連れて来れて良かった。
向かうは3年前に訪れた鳥藤。
この店には「宿題」があって、前回は満腹で肝心のミルクワンタンが食べられなかったのだ。
さて、今回こそはたどり着けるのか?
東京駅八重洲口から南下、暗闇の中、ガード下を進むと鳥藤が見えてきた。
何とご主人はたった一度しか訪れたことのない私のことを覚えてくれていた。
今回も早出(!?)の奥さんに加え、カウンター左の席には「居酒屋放浪記」で吉田類さんと言葉を交わしたと思しき「旧都庁組」のご常連もいて、和気あいあいとした会話を楽しんだ。
もちろんヒロPくんとも腹を割った話をした(初めてだね)。
そしてようやく・・・
念願のミルクワンタンにありつけました〜(感動)。
戦後、国の統制で米の入手が困難だったことから考案されたというミルクワンタン。
昭和の記憶が風化しつつある中、「次世代」のヒロPくんをこの店に連れて来れて良かった。
2018年10月21日
病院薬剤師サミット2018
機能分化・地域連携の実践期における課題
〜変化する病院薬剤部で考えるべき3つの視点〜
局長の代理で参加(今週は何と二度も東京出張です)。
サブタイトルにある「3つの視点」とは、|楼莽携後発医薬品Antimicrobial Stewardshipということになるのかな?
・・・さて、本日ご参加の薬局長の先生方!
地域連携・経営改革・チーム医療・病棟業務・薬剤師不足・・・。
中核病院の薬剤部が抱える悩みや課題の数々。
その多くが、「もう一つのフォーミュラリー」(クラウド型院内医薬品集)を導入すれば「一気」に解決できます。
その理由をお知りになりたい先生は、姉妹ブログ「悩める薬局長のための薬剤師不足でも業務改善できるクラウド型院内医薬品集を制作するためのブログ」をご覧ください。
2017年11月02日
CPE を対象とする感染対策/サーベイランス〜4 学会からの提言〜
四学会連携提案カルバペネムに耐性化傾向を示す腸内細菌科細菌の問題(2017)―カルバペネマーゼ産生菌を対象とした感染対策の重要性―
この日に公開された上記の提言に関するセッションだ。
この提言では、現行のCREの届出基準では「非CRE-CPE」(ステルス型)を見逃してしまう可能性があるため、カルバペネム分解酵素産生の有無の確認を勧めている。
「MEPMのMIC≧0.25μg/mLはCPEとして扱うべきである」
現行の検査法ではMIC≦2μg/mLだとCREと判定されない。
しかし、同じMIC≦2μg/mLであっても、野生株にはMIC≧0.25μg/mLのような菌は存在しない筈であり、同列で扱うことには問題がある(ステルス型である可能性が高い)。
CPEは菌種をまたいで(プラスミド伝播)で広がるため、アウトブレイクが生じてもわかりづらい。
そのため、CPE感染患者は原則として個室管理が望ましく、接触感染防止策の徹底を基本に「MRSA 感染患者に準じた対応」「糞便の取り扱いには特に注意」というように具体的な指示を出すことも効果的である。
また、必要に応じて保菌および環境調査を検討する。
この日に公開された上記の提言に関するセッションだ。
この提言では、現行のCREの届出基準では「非CRE-CPE」(ステルス型)を見逃してしまう可能性があるため、カルバペネム分解酵素産生の有無の確認を勧めている。
「MEPMのMIC≧0.25μg/mLはCPEとして扱うべきである」
現行の検査法ではMIC≦2μg/mLだとCREと判定されない。
しかし、同じMIC≦2μg/mLであっても、野生株にはMIC≧0.25μg/mLのような菌は存在しない筈であり、同列で扱うことには問題がある(ステルス型である可能性が高い)。
CPEは菌種をまたいで(プラスミド伝播)で広がるため、アウトブレイクが生じてもわかりづらい。
そのため、CPE感染患者は原則として個室管理が望ましく、接触感染防止策の徹底を基本に「MRSA 感染患者に準じた対応」「糞便の取り扱いには特に注意」というように具体的な指示を出すことも効果的である。
また、必要に応じて保菌および環境調査を検討する。