指導記録のあり方を探る

2020年03月19日

【改訂版】指導記録のあり方を考える(予告編)



医師・看護師と比べ、薬剤師の書く指導記録の歴史はまだ30年余りと決して長くありません。

そのためか、指導記録の書き方に関する基準もノウハウもテクニックも極めて希薄です。

また、それを改善しようという機運もまた乏しいと言わざるを得ません。

この動画ではメインブログのカテゴリ「指導記録のあり方を探る」を12年ぶりに改訂してお送りします。

乞うご期待を。

他にも動画続々UP中!病院薬剤師って素晴らしい【YouTube編】

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2014年08月25日

名を捨てて実を取る

7〜8年前に「指導記録のあり方を探る 」という記事を書いた。

医療において記録がないのは行為をしていないのと同じこと。

薬剤管理指導業務が量的にも質的にも評価されるうえで、「記録」が何よりも重要な要素であることを結論として述べた。


しかし、平成24年度に新設された病棟薬剤業務実施加算では、それまでとは随分と雰囲気が違っていた。

病棟薬剤業務日誌」の作成・管理・保存義務はあるものの、より手間のかかる業務内容の診療録への記録は努力目標(「可能な限り記録すること」)へとトーンダウンしていたからだ。

その際、私はこう思った。

「はは〜ん、名を捨てて実を取ったのだな」

ここで何が「名」で何が「実」なのかは、賢明な読者ならば既にお気付きのことだろう。

名 = 病院薬剤師としての目標(後述)

実 = チーム医療における役割


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「記録」が足枷に!?

まずは「名」の方から。

かつて日病薬が薬剤師の病棟活動に関する基本方針として掲げたのが次の2つだった。

・薬剤管理指導業務の完全実施(量的目標)
・プレアボイド報告の集積(質的目標)

あれから既に10年余りが経過したが、それらは進捗しただろうか?

否、少なくとも当院に関しては、(健闘はしているものの)完全実施には至っておらず、プレアボイド報告にしても「お世辞にも」病棟薬剤師にとってのメインテーマとはなっていない。

その最大のネックが「記録」にあることは、以前にも述べたところだが、それ以降も病棟薬剤師が「記録」に追われている状況はさして変わってはいない。

深夜まで(例の兵の彼女は早朝まで!)や休日出勤での記録作業は、いわば「当たり前」の光景となっているのだ。


「記録」が足枷となり、いつ果てるかも知れぬ「未達」状態。

やがて、薬剤師が「ノータッチ」の入院患者の存在が顕在化するに至り、持参薬管理・地域連携をはじめとする様々な問題が浮上し始めた。

しかし、そのような状況がいつまでも許容される筈もない。

医政局長通知を経て新設された病棟薬剤業務の中身(「実」)は、いわば医療現場のニーズ、時代のニーズそのものだった。

持参薬をも含めた薬学的管理、処方設計および提案、医薬品の情報収集および提供等々。

医療崩壊を防ぐためには背に腹は代えられない。

あえて「名」を捨てて「実」を取る時が訪れたのだ。

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「記録」からは逃れられないのか?

個人的には、薬剤管理指導業務はいずれ病棟薬剤業務に「集約」されるものと踏んでいる。

薬剤管理指導業務 ⇒ 投薬以後における患者に対する業務

病棟薬剤業務 ⇒ 投薬前における患者に対する業務他

「区別がわからない」との声も多い両者。

こんな定義を見ても、苦しい「こじつけ」にしか思えないからだ。


そんな中、「唐突に」改正された薬剤師法(25条の2)。

私は、法改正は必然、不可避だったと考える。

いかに時代の流れとはいえ、法整備も行わず「拡大解釈」のみで業務を課していけば、やがて病院薬剤師は自らの「軸」を見失い、「便利屋稼業」に埋没する恐れすらあったからだ。

ともかく、薬剤師の立場が薬の「専門家」から「責任者」に変わったことで、今後ますます忙しくなること「だけ」は確かとなった(笑)。

ただ、「必要な薬学的知見に基づく指導(薬学的指導(仮称))」には必ず「記録」がつきまとう。

そこで再び蘇ってきた懸念。

結局、「記録」からは逃れられないのか?

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好機到来

しかし、「必要な薬学的知見に基づく指導の進め方」を読み込めば、「記録」に関してそこまで悲観する必要はないことがわかる。

入院中の患者 ⇒ 診療録に添付することが望ましい

退院する患者 ⇒ 診療録に添付することが重要と考える

外来患者 ⇒ 指導内容記録を残すことが望ましい


思えば薬剤師が臨床の場に進出して、はや四半世紀が経過した。

私が記憶する限り、今回ほど「記録」がクローズアップされたことはなく、今こそそのあり方を考える好機だと考える。


「記録」のため、後回しになる患者がいる、行けない患者がいる。

※当院では現在、2病棟(約90床)を薬剤師1名で担当している。

我々はこれまで薬剤管理指導業務を通じて、「記録」が質的にも量的にも足枷となり得ることを経験してきた。

その一方で、「ノータッチ」状態が許されない、医療現場からの「重圧」をひしひしと感じるに至った。

だからこそ、我々は頑張ってきたのだが・・・、自らを犠牲にして埋め合わせをするのは、そろそろ止めにしよう。

「記録」が変われば、薬剤師の業務も変わる、負担も変わる。

諦めることなく、「記録」とのあるべき付き合い方を、皆で模索していこうではないか。(了)

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2008年01月01日

特定共同指導がキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

※日付を書くと素性がバレるので元旦ということにしてあります(笑)。

新年早々、特定共同指導の日がやってきた。

一体何をどこまで指摘されるのか、お屠蘇気分に浸る間もなく、医師も看護師も事務方も戦々恐々だ。

薬剤師(ボス以外)には関係ない話かと思っていたら、何と薬剤管理指導記録に関しても記録者に直接ヒアリングがあるとのこと。

その通知があったのが昨日(大晦日)だから、まさに「寝耳に水」の話だ。

ただし、うちは電子カルテなので記録に不備があったからといってどうすることもできない(紙カルテの場合は、足らない箇所をひたすらハンコで押しまくるらしい)。

そして、いよいよヒアリングの時刻が来た。

どんな強面の監査官が来るのかと思っていたら、常識的かつ建設的なアドバイスをしてくれる物腰の柔らかい方で正直ホッとした。

意地悪な突っ込みなどはなかったが、やはりお粗末な指導記録に対しては厳しい意見が出た。

要するに、「薬剤師が患者ケア、そしてチーム医療にどう関わっているのかが見えて来ない指導記録は算定要件を満たさない(・・・と言われても仕方がない)」ということらしい。

記録方法についても、「必ずSOAP方式でなければならないという決まりはないが、第三者が見ても(薬剤師の行動・思考過程が)わかりやすい記録でなければならない」そうだ。

以前、「良い記録・悪い記録」という記事を書いたが、まさしくこの点が突かれた訳だ。

幸い私の書いた指導記録(フォーカスチャーティング方式・麻薬指導加算に関する記載あり)は全く指摘を受けなかった。

よかった〜!

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2007年09月27日

SSSの秘密

発表は午後2時以降。まだまだ時間はたっぷりある。

かねてより注目していた薬剤管理指導業務支援システム「スーパーサポートシステム(SSS)」のデモを見ることにした。

虎の門病院三井記念病院をはじめとする数々の医療施設で導入され実績を上げているこのシステム、自治体病院共済会で紹介されているだけあって、本学会でもデモが企画されたのだろう。

様々な機能を有するこのシステムだが、今回は「SSSだとなぜ指導記録を短時間で書けるのか」に絞って話を聞いてみた。

SSSの秘密・・・それは次の2点に集約されると思う。

1)O記録が電子カルテから取り込める点

2)対話方式でA/P記録が書ける点

指導記録の中で最も時間がかかるのがS/O記録だということは、以前にも述べたところだが、SSSでは処方内容・検査値・薬学的管理の結果(重複投与・相互作用など)といった転記に手間がかかるデータを瞬時に指導記録に取り込むことができるのだ。

次いで時間を取られるのはS/Oに対するA/Pを考える手間だが、これもシステムの方で問題点(服薬状況・副作用・相互作用など)とその対策を提示してくれるので、あとは該当箇所をチェックするだけ。経験の浅い薬剤師でも一定水準のA/P記録が書ける仕組みとなっている。

薬剤管理指導業務に関わる薬剤師は、「量」と「質」の狭間、すなわち「指導記録」で常に苦労してきた。

指導記録に時間をかければ「量」が低下するが、かといって指導記録をおろそかにすれば今度は「質」が低下するからだ。

SSSは、そういった苦衷を見事クリアした、「量」と「質」を両立できるシステムだと言える。

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SSSは支援システムの黒船!?

SSSをベタぼめしてしまったが、実のところはものすごく複雑な心境だ。

支援システムには「育つシステム」と「育たないシステム」の二通りあることは以前述べたところだが、自分には、SSSが後者の「育たないシステム」に思えて仕方ないのだ。

O記録が簡単に書ける点、これは歓迎できる。

なにせS/O記録は長年の懸案事項なのだから、そう遠くない将来、下記のような図式が当たり前になるのかもしれない。

◆S(患者との会話内容に関する)記録 ⇒音声入力

◆O(処方・検査値・所見などに関する)記録
⇒電子カルテからの取り込み

ただ、A/P記録までシステム任せにする点だけは、どうしても違和感をぬぐい去ることができない。

例えば、新人の薬剤師がSSSで作成した指導記録を自信満々に見せてくれたとする。

その記録を見た自分は、「そのA/Pはあなたが書いたの?それともシステムが書いたの?」と突っ込みたくなってしまう。

いささか了見の狭い話で、逆に「じゃあ、先輩は書けるんですか?」と反論されかねないが、誰でも「それなり」の文書が作成できてしまうシステムは、指導者の立場からすれば決して気味の良いものではない。

しかし、どのようなプロセスで書かれようと、指導記録以外に「質」を評価できる材料はないのだ。

過保護なシステムが仮に薬剤師の成長の足枷となったとしても、圧倒的な「量」(指導件数)と「質」(指導記録)の前では、「自己責任」という一言で済まされてしまうに違いない。

皮肉にも懸念は的中し、指導記録に関する明確な指針を見出す前に黒船は来てしまった。

悩んでいる時間は、恐らくもうほとんど残されていないだろう。

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2006年12月06日

【第1章】はじめに                                                                                                病棟薬剤師は指導記録に追われている!?

「記録さえなければもっと楽なのに・・・・」

薬剤管理指導業務をしていて、そうボヤいたことのある薬剤師は決して少なくない筈だ。

それほど記録作業は病棟薬剤師にとって負担となっている。

薬剤管理指導料の算定要件である必須記載項目はやむを得ないとしても、患者との面談後に書く記録(⇒便宜上これを「指導記録」と呼ぶことにする)には意外と時間を取られるものだ。

患者1名分の指導記録の作成に5〜10分かかるとして、単純計算でも10名で50〜100分、20名で100〜200分、30名では150〜300分!

記録作業が全体の業務量に占める割合は決して半端ではない。

しかし、医療の場において記録がないのは医療行為をしていないのと同じこと

時間がかかるからといって、指導記録を書かない訳にはいかない。

そうして今宵もまた病棟薬剤師たちは、「今日は何時に帰れそう?」「あと何人?」などと言葉を交わしながら、夜更けまで記録作業に精を出す。

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記録に時間のかかる薬剤師・かからない薬剤師

・・・・いや、「夜更けまで」というのは言い方が過ぎたようだ。

当院には、毎日誰よりも件数をこなしながら、常に定時に帰宅するという兵(つわもの)がいるからだ。

彼が記録にかける時間は確かに短いが、実際にその内容を見る限り、手を抜いたり粗雑な記録を書いている訳ではない。

その一方で、毎日誰よりも記録や薬学的管理に時間をかけた挙句、帰宅時刻は常に深夜(時には早朝!)という、別の意味での兵も存在する。

彼女(!!)が記録にかける時間は確かに長いが、実際にその内容を見れば、必要に迫られて書いているという姿勢が伝わって来る。

そもそも当院は統合病院で、薬剤師も出自の異なる混成チーム。

担当する病棟・扱う疾患も異なれば、記録の書き方や姿勢が違って当然なのかもしれないが、この格差はどう考えても尋常ではない。

今回、「指導記録のあり方を探る」という何とも大それたタイトルを付けてしまったが、「皆が少しでも早く記録を終えて帰宅できるように」という願いを込めて本稿を書くことにした。

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【第2章】完全実施とプレアボイドと指導記録と                                                                                    量と質の狭間で

日本病院薬剤師会(日病薬)が薬剤師の病棟活動に関する基本方針として「薬剤管理指導業務の完全実施」と「プレアボイド報告制度」を打ち出してからはや数年が経過した。

病棟活動の「量」的目標たる完全実施と「質」的目標たるプレアボイドは、いわば車の両輪のようなものであって、「両立させて当然」ということになる。

症例を数多くこなしていく中で、「気付けば該当するものがあったから報告しよう」というのがプレアボイド報告制度の趣旨であり、「量」がこなせていないのにプレアボイドの報告数が増える道理がないからだ。

言い方を変えれば、プレアボイド事例を多数報告している施設ならば、薬剤管理指導の実施率もそれなりに高くなければおかしいという話になる。

「量」は「質」を育み、「質」は「量」を支える。

完全実施とプレアボイドは互いに矛盾することなく、目指すところは同じなのだということが理解できる。

しかし、現実には両立どころか「量」をこなすので精一杯という施設が大半なのではないだろうか?

そのことは、近年のプレアボイドの報告状況を見ても容易に想像できる。

マンパワーの問題と言ってしまえばそれまでだが、与えられたハードルは想像以上に高かったことに、今更ながら気付かされてもいる。

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脆弱な車軸

完全実施とプレアボイドが車の両輪だとすれば、それらを支える「車軸」に問題はないのだろうか?

どんなに両輪が立派でも、車軸が脆弱だと車は絶対に走らない。

しかし、逆に車軸さえしっかりしていれば、車輪に多少の問題があったとしても何とか進んでくれるものだ。

ここで、車軸イコール指導記録であることはもはや言うまでもない。

山形県病薬理事で中小病院担当の島津憲一氏は、平成15年3月に開催された山形県病薬創立35周年記念事業の座談会で次のように述べ、完全実施が達成できない最大の原因が指導記録にあることを指摘している。

一番の問題は記録です。

特に薬歴等に非常に時間がかかっているようなのですが、正確に見ると、実は指導したことを書くのに一番時間がかかっているのです。

同じ位の数を診ている医師・看護婦等は当たり前に書いています。

その辺りに決定的な差がある訳で、薬剤師にもそうした実技的な研修が必要なのだと思います。


しかし、現状を見る限りその差が埋まったとは思えないし、自分自身、指導記録に関する実技的な研修を受けた記憶もない。

車軸は依然として脆弱なままのようだ。

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乏しい指針の産物

指導記録のあり方を探ろうとした時、指導記録に関する指針がいかに乏しいかを瞬時に思い知らされることとなる。

意外かもしれないが、薬剤管理指導料の算定要件を満たすための記載項目を除けば、指導記録に関する規定やガイドラインなどはほとんど見当たらない。

現時点で最も充実した病院薬剤師の業務指針の一つである「病院薬剤師のための業務チェックリスト(改訂版)」(日病薬薬剤業務委員会編)では「薬剤管理指導業務の記録」という項目が設けられてはいるが、記載すべき事項や医療スタッフ間の情報共有の必要性が言及されているに過ぎない。

そのような状況だから、指導記録に対する考え方が自治体や施設間、ひいては薬剤師間で異なっていても何ら不思議ではない。

「算定要件さえ満たせばよい」とか、逆に「患者との会話は全て記録しなければならない」といった極論も真しやかに聞こえてくるが、それも致し方ないことかもしれない。

ともあれ、指針がないのならば各自が構築するしかない。

学会で薬剤管理指導業務の「標準化」に関する発表が盛んなのも、指導記録の問題と決して無関係ではない。

次の章では、この標準化の手法を、「量」をクリアするという視点から眺めてみることにする。

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【第3章】薬剤管理指導業務の標準化と指導記録                                         標準化の効用

薬剤管理指導業務の標準的な内容・手順をあらかじめ取り決めておけば、担当者によるバラツキが減り、その「質」が保証される。

「標準化」のメリットは概ねこんなところだが、同時に記録作業を省力化する余地も増える。

下記に示す通り、近年、標準化が可能な対象はほぼ出揃った感があり、参考図書に困ることもほとんどなくなった。

1)患者情報の収集
これだけはチェック!「患者インタビュー」虎の巻」(日経BP社)

2)処方監査
「処方せんチェック」虎の巻―その薬を出す前に」(日経BP社)

3)副作用の早期発見
「服薬マネジメント」虎の巻 上―安心して薬を飲んでもらうために」(日経BP社)
「服薬マネジメント」虎の巻 下―安心して薬を飲んでもらうために」(日経BP社)
薬学的管理実践のためのエッセンシャルシートとフォローアップシート〈前編〉」(医薬ジャーナル社)

4)薬学的プロブレムの立案
薬剤管理指導のためのプロブレムリスト作成の手引き」(じほう)
「薬歴スキルアップ」虎の巻―POS薬歴がすぐ書ける (基本疾患篇)」(日経BP社)

5)薬学的ケア
設問式 薬剤師に必要な患者ケアの知識」(じほう)
設問式 薬剤師に必要な患者ケアの知識〈2〉」(じほう)
設問式 薬剤師に必要な患者ケアの知識〈3〉」(じほう)
POSによる標準ケア計画―ファーマシューティカルケアの実践」(じほう)

6)標準化全般
病院薬剤師業務マニュアル―病院薬剤師業務の標準化に向けて」(エルゼビア・ジャパン)
疾患別薬剤管理指導ハンドブック」(エルゼビア・ジャパン)
疾患別薬剤管理指導ハンドブック〈2〉」(エルゼビア・ジャパン)
薬剤管理指導業務のためのケアワークシート作成の手引き」(じほう)

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基本様式とテンプレート化

標準化は記録様式の簡略化を可能にする。

記録様式の工夫次第では、記録時間を大幅に短縮することができる。

ところで記録様式と言えば、平成11年に日病薬中小病院委員会が公開した「薬剤管理指導記録様式(基本様式)」が有名だ。

「薬剤管理表」「服薬指導記録」「薬歴管理表」「退院時服薬指導録」「退院時服薬指導書」の5部からなるこの様式は、日病薬のホームページからダウンロード(要ユーザーID・パスワード)し、そのまま、またはカスタマイズして使用できる。

「簡略化できるものはできるだけ簡略化して、その分中味を濃くしていこう」というのが、基本様式のコンセプトだ。

この様式では徹底したテンプレート化により、記録の大半をチェック方式や簡単な書き込みのみで済ませることが可能となっている。

ただ、忘れてはならないのは、単なるチェックマークに意味が生じるレベルまで標準化がなされているからこそ、テンプレート化が可能なのだという点だ。

「中身の伴わぬテンプレート記録」は、空虚で苦痛と言う外ない。

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標準化だけでは限界がある!?

ただ、標準化への道程は想像以上に険しい。

当然ながら、先に紹介した書籍を読んだだけでは無理で、そこには各施設に見合った独自の取り組みが加わらなければならない。

とすれば、テンプレート化を目指して標準化に着手したのはよいが、思ったように進捗せず結局何も変わらなかった、といったことも生じてしまう。

そう考えていくと、標準化による記録作業の省力化というのは、頑張って標準化を達成させたご褒美ようなものであって、それが全てと考えるのにはいささか無理があることがわかる。

抜本的な対策としては、やはり島津氏が言うように、記録の「書き方」自体にスポットを当てていくしかないのかもしれない。

ただ、幸いなことに、最近ではDPC(Diagnosis Procedure Combination;診断群別包括支払方式)導入に伴い、CP(クリニカルパス)作成の機運が高まっている施設が多い。

これを追い風に標準化が進めば、記録作業は格段に楽になる筈なので、CP作成には薬剤師も積極的に関わりたいものだ。

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プレアボイドに立ちはだかる壁

薬学的ケアは、突き詰めれば次の2種類に大別される。

1)全患者に共通して提供されるケア(以下「共通ケア」と呼ぶ)

2)患者毎に個別に提供されるケア(以下「個別ケア」と呼ぶ)

共通ケアに関する記録は、CPのようなテンプレート化が可能だが、片や個別ケアに関しては、POS(問題志向型システム)のような叙述的な記録がどうしても必要となる。

通常、標準化の対象というのは共通ケアにとどまるため、個別ケアに関する記録の便は図られていないことが多いのだ。

個別ケアに関する記録、すなわち叙述的記録が書きにくいと、やがて記録自体や個別ケアの提供さえも敬遠されることになってしまうかもしれない。

個別ケアの充実こそが標準化・省力化本来の目的だった筈なのに、そこに大きな壁ができてしまっていることがわかる。

そしてこの壁は、そのままプレアボイド報告制度の壁でもある。

ここで言うプレアボイドとは、共通ケアでカバーしきれない状況(CPで言うバリアンス・POSで言うプロブレム)が生じ、個別ケアを提供した結果、患者の利益が向上した事例を意味する。

プレアボイドは標準化の向こう側にある。

個別ケアを提供できていないから、もしくはそれを記録できていないからプレアボイドは伸び悩んでいるのだ。

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【第4章】指導記録の電子化                                         叙述的記録の救世主

電子化とは、様々な形で存在する情報を機械で読み取り可能な形式に変換することを意味する。

薬剤管理指導業務支援システムを用いた「指導記録の電子化」は、記録作業の省力化という側面でも大きな期待がかかっている。

今までに幾つかの支援システムを見てきたが、記録に関する考え方は概ね次のいずれかだった。

1)いかに記録量を少なく抑えるか(テンプレート化)

2)いかに快適に記録を行うか(定型文などの参照・複写機能)


前者が紙媒体の記録と全く同じ発想なのに対し、後者は電子媒体ならではの発想と言える。

前の章で述べたように、「共通ケア」の記録は前者で問題はないが、テンプレート化が困難な「個別ケア」に関しては後者の機能があると有用だ。

つまり、これまでの懸案だった「叙述的記録」の作成が、電子化によって大幅に省力化できるかもしれないのだ。

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育つシステム・育たないシステム

ただ、最近ではSOAPの定型文を搭載した支援システムも見かけるが、薬剤師の腕の見せ所であるA(Assesment)やP(Plan)の定型文まで選択させるのは、もはや利便性を通り越してやり過ぎだと思う。

初期計画(OP・CP・EP)の参考にするのならば書籍で事足りる筈であり、AやPまでシステムに頼ってしまうと薬剤師としての視点が育たなくなってしまう。

それこそ「鉛筆を転がす」がごとく、薬剤師が定型文を選んでいる情景が目に浮かんでしまうのだが、心配のし過ぎだろうか?

AやPに関しては、定型文よりもむしろ過去の叙述的記録を参照できた方が何倍も意義深い。

自らまたは他の薬剤師が過去に作成した指導記録は、薬剤師の視点を養うための「生きた教材」となり得る。

そして、それをうまく再利用できるようなシステムならば、使い込む程に便利に、そして賢くなっていく訳であり、それこそが電子化の最大の妙味と言えるのではないだろうか?

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SOS記録はなくならない!?

※本稿では叙述的記録の方法をPOSに限定している訳ではないが、便宜上、SOAPの概念を前項から引き続き用いることにする。

A・Pに比較すれば、より簡略化しやすい筈のS(Subjective data)・O(Objective data)の記録に、実は最も時間を取られていることが多い。

S・Oばかりの記録を「SOS記録」と呼ぶそうだが、決して笑い事ではなく、それなりに切実な事情がある。

ここで、冒頭で紹介した兵の彼女のことを思い出していただきたい。

彼女の主な担当は小児科病棟。

患者に直接服薬指導すれば済む他科とは異なり、保護者に対する指導が中心であり、薬を嫌がる子どもも少なくないことから、「薬の飲ませ方」のアドバイスには日々心を砕いているそうだ。

しかし、現実には保護者が不在の時もあるし、代わりの者が飲ませ方を確認しようと思っても、今度は薬剤師が不在の場合もある。

よって、保護者・医療スタッフ間の共有情報として、「薬の飲ませ方」に関する経過記録はどうしても削れないそうなのだ。

・・・この例のように、S・Oと言えども簡略化できない記録は意外と多い。

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音声入力の現状

しかし、よくよく考えてみれば、こういった「思い出す(ための)記録」は必要時に再現できればそれで十分なのだ。

ならば、「音声入力」という手段がある。

決して現実離れした話ではなく、実際に「音声入力」で指導記録を作成するシステムは、主に調剤薬局を対象に数社から発売されている。

会話を丸ごと記録することの是非は別として、音声入力は、SOS記録の問題を解消して完全実施を達成するためにも、S・O中心の「思い出す記録」からA・P中心の「考える記録」(後述)への脱皮を図るためにも、今後避けては通れない課題のひとつだろう。

下記に音声による記録方法とその問題点を紹介する。

1)音声そのものを記録する方法
ICレコーダーなどで記録した音声ファイルをそのまま指導記録として保存する。現状では算定要件を満たさない可能性が高い。再生に時間を要するうえに、録音の精度が再現性に影響する。

2)音声入力する方法
音声ファイルまたは直接音声をソフトを用いてテキスト化する。認識精度と辞書機能が再現性に影響する。会話内容が全て記録されるため、必要な情報が見つけにくい。

3)音声入力したテキストを要約ソフトで加工する方法
音声入力の精度と要約精度が再現性に影響する。更に加工を要する可能性が高い。

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電子化は予算要らず!?

電子化のメリットは承知していても、支援システムや電子カルテはまだまだ高価で、どこの施設でも導入できる訳ではない。

しかし、パソコンとプリンターさえあれば、指導記録の電子化くらいは何とかなるものだ。

以前勤務していた病院には支援システムはなかったが、自分なりに表計算ソフトExcelを活用して、電子化のメリットだけは存分に享受していた。

方法はいたって簡単で、「指導年月日」「患者名(ID)」「主疾患」「フォーカス(後述)」「指導内容」「算定点数」などを時系列順に記入するだけ。

こうして作成したリストは、様々なソートをかけるだけで、巡回患者リストや各種データベース(患者別・疾患別・フォーカス別)・集計表(指導件数・算定件数)として生まれ変わった。

当日の指導記録は、前回または類似症例の記録を複写・修正して作成し、ラベル出力して指導記録用紙に貼付していた。

テンプレートにしても、ユーザ辞書や付属のソフト(WordやExcelなど)を活用すれば足り、あえてシステム化する必要性は感じなかった。

このように、工夫ひとつでかなりの部分までできてしまうのだ。

あと、フリーウェア・シェアウェアも有力な選択肢のひとつで、最近では驚くほどクオリティの高いシステムも公開されている(・・・らしい)。

しかし、いくら便利でも、「個人情報の流出」だけは目も当てられないので、くれぐれもセキュリティ対策だけは万全にしておきたい。

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百花繚乱の影に

支援システムが担う機能の詳細は、平成13年に日病薬学術第3小委員会が報告した「薬剤管理指導業務支援システムの調査・研究」と、それに準拠して開発された支援システム「MediStep21〜薬剤管理指導業務総合支援システム〜」(CRCテクノパートナーズ社)が非常に参考となる。

もちろん、支援システムはそれ以降も続々と発売されており、各社がしのぎを削っているので、これから導入を考えている施設は十分な調査と研究が必要だ。

ただ、各社が特色を出せば出すほど、各ユーザーの差別化も進む。

「量」的なメリットをやたら強調した支援システムも散見するが、売る方も買う方もビジネスなのだから、何か致命的な問題が潜んでいたとしてもそれを留め立てする術(すべ)はない。

そして、いったん導入すれば後戻りはほぼ不可能なのが、紙媒体とは異なる電子化の恐いところだ。

そう考えると、指導記録に関するコンセンサスが得られていない現状で、メーカー主導で電子化が進むことは決して手放しで喜べないのではないだろうか?

電子化が本格的に普及する前に、一刻も早い指導記録に関するガイドラインの策定が望まれる。

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【第5章】看護記録に学ぶ                                         キーワードは「開示」                                              

指導記録は、常に看護記録の数年後を歩んできた。

今やほとんどの薬剤師が知っているPOSやCPも、元はと言えば看護の領域で確立されてから伝わって来た概念だ。

看護師が日々記録に追われている度合いは薬剤師の比ではなく、「看護記録に関するトピックスを垣間見れば、何かヒントが得られるに違いない」という思いから、看護記録に関する本をひも解いてみた。

その過程で発見した「看護記録にあって指導記録にないもの」を、この章では紹介していこうと思う。

まず最初は記録に関するガイドラインだ。

平成12年には「看護記録の開示に関するガイドライン」、平成18年には個人情報保護法施行に伴う修正版として「看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針」が、いずれも日本看護協会より発表されている。

内容の全てをここで紹介することはできないが、看護記録が目指す方向性は、タイトルにもあるように「開示」ということになる。

「医療者のための記録」から「患者のための記録」へ、時代の流れは確実に移ろいでいることがわかる。

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訴えられない記録はない!?

「訴えられない記録」というのをよく耳にするが、全く奇妙な話だ。

そのような話題が出る背景には、「結果として敗訴はしなくても、訴えられること自体がイメージダウン」という事情があるためだが、訴訟はそれとは全く別の論理で動く。

そもそも、(民事)訴訟を起こす起こさないは患者側の感情の問題であり、また「根拠のない訴訟を起こしてはならない」という規定もない。

よって、「訴えられない記録」などあろう筈がなく、どんな記録を書こうが訴えられたら最後、嫌気が差すほど根掘り葉掘り追及されることになる。

また、我々の立場からすれば残念なことだが、医療記録の社会的な信用性は驚くほど低い。

「医療機関は都合が悪くなると、改ざんする恐れがある集団である」というのが常識で、裁判における「証拠保全」の手続きもほぼ当たり前のように行われている。

こういった状況だから、「テクニカルに訴訟をかわすことは不可能」と考えておいた方が無難のようだ。

患者のために全力を尽くし、その痕跡が記録として残っていること。

そんな「正攻法の記録」こそが、訴訟から身を守る唯一の手段と言えるだろう。

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良い記録・悪い記録

訴訟の観点から見て、「良い記録」「悪い記録」とはどのようなものを指すのだろうか?

東海大学医学部教授で、医師であり弁護士でもある児玉安司氏は、「看護記録の新しい展開―クリニカルパス、フォーカスチャーティング、PONRの基本から応用まで」(照林社)という本の中で、「悪い記録」の典型として「大事なことが書いていない記録」「(経過のみを)書きっぱなしの記録」を挙げている。

つまり、前者は「自分に不利なことは書かない」という姿勢、後者は「適切な医療が行われていない」実態の証明になってしまうのだ。

では、「良い記録」とはどのような記録なのだろうか?

児玉氏は記録のあり方についてこう語る。

医療行為は「情報を取る」「判断する」「行動を起こす」という3つのステップから成り立っています。

その全てが記録に残されていて、特に行動を起こしたか否かは、いずれもそのエビデンス(情報と判断)が明記していなければなりません。


・・・これに「評価する」を加えた4つの要素を兼ね備えることが、「良い記録」の条件ということになる。

「思い出す記録」から「考える記録」への脱皮が求められている。

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FCが記録を変える

今や薬剤師の間でも代表的な記録方法となったPOS。

POSで記録を書くことは、上記の条件に照らして何ら問題がない。

しかし、看護の領域で今POS以上に注目されているトピックスは、FC(フォーカスチャーティング)の活用だ。

FCとは、下記の要素を用いて経過記録を系統的に記録する方法で、「看護記録の開示に関するガイドライン」でも紹介されている。

≪FCの構成要素≫ 

F(Focus/焦点):患者の抱える問題点やそれに対するケア内容

D(Data/情報・状態):Fに関する主観的・客観的情報

A(Action/介入・行為):Fに対して実施した、または実施すべきケア

R(Response/結果・反応):Aに対する患者のアウトカム

POSにおけるSOAP形式に似ているが、「起(=D)・承(=F)・転(=A)・結(=R)」形式で記載されるため読みやすく、かつ書きやすく、一般人にも理解しやすいため、「開示向きの記録」とも言える。

FCにより記録時間の短縮や申し送りの廃止が可能となるので、既に導入済みまたは導入を検討している医療施設・介護施設が全国的に増加しているそうだ。

詳細は下記の参考図書を参照されたい。

≪FCに関する参考図書≫
「はじめてのフォーカスチャーティング―情報開示とケアの質を高める精神科看護記録の実際(医歯薬出版)
「フォーカスチャーティング活用術―説明・共有・証明できる看護実践の記録」(メディカ出版)
「フォーカスチャーティング・記録による看護の質評価」(メディカ出版)
「フォーカスチャーティングの拡大活用―看護実践に活かす「患者記録」」(メディカ出版)

≪POSに関する参考図書≫
「本当に患者の利益になるPOSと薬歴の活用」(薬事日報社)
「薬剤師のためのPOSの考え方と導入の仕方―標準ケア計画の実践編-高脂血症」(じほう)
「演習形式で学ぶ使いやすいPOS―POSがうまくいかない薬剤師さんへ」(じほう)
「症例から学ぶSOAPワークブック―薬剤師が行う薬物治療マネジメント」(じほう)
「臨床薬剤師のためのEBMによるPOS―21世紀の最新医療システム」(南山堂)

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面談中に記録終了!?

自分自身、指導記録の書き方をFCに変えてからもうじき1年になる。

具体的には、下記のような記録を日々書いている。

≪酸化マグネシウムの剤形不適合≫
【D(data)】
「この粉薬を飲むと、入れ歯にはさまって手入れが大変です」
下剤として1.5g分3で服用中。
【A(action)】
主治医に剤形変更を提案。

(後日の記録)
≪酸化マグネシウムの剤形不適合≫
【D(data)】
マグラックス(250)6T分3に変更。
【R(response)】
「入れ歯の手入れは楽になりました」
下剤の効果は維持されている。

なお、共通ケアに関してはテンプレートを用いて記録しており、特記事項がない場合は叙述的記録がゼロのこともある。

FC導入後の変化を自分なりにまとめてみた。

1)記録量の減少
タイトル(focus)を付ける段階で書く内容が絞り込まれるうえ、タイトルと関係の薄いことも書きづらくなる。上記程度の記録量ならば、面談中に書き終えることも決して不可能ではない。

2)伝達性の向上
前回面談時のポイントや経過が明確に伝わるため、日数が空いても、担当者が替わっても、継続したケアがスムーズに提供できる。

3)プレアボイドの増加
SOAP形式に比べ、薬剤師の行ったケアの内容(action)と評価(response)の関係が明確になるため、プレアボイド該当事例が増えた。ちなみに、上記の症例もプレアボイドに該当する。

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【第6章】おわりに                                                      見えるゴール・見えないゴール

我々の行く手には2つのゴールがある。

そのうち「量」的なゴールは、はるか彼方ではあるけれど、この目にはっきり見えている。

標準化・電子化・薬剤師の増員・・・とリソースをつぎ込めば、いつかはたどり着くことができるゴール、それが「完全実施」の正体だ。

では、「質」的なゴールはどこに見出せばよいのだろう?

「標準化」は最低限の基準、「情報・判断・行動・評価」は様式上の条件に過ぎず、「プレアボイド」とて目標には違いないがゴールではない(プレアボイドに該当しない症例が全て「質」が低いという訳でもあるまい)。

これからも、自問自答しながらゴールを暗中模索することになるだろう。

ただ、見えないゴールを目指すためには、薬剤師の強いプロ意識とそれを支える評価が不可欠となる。

現時点で確信を持って言えることは、指導記録抜きに「質」の評価を下すことはできないということだけだ。

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もっともっと議論を

本稿が、今後の記録作業のためにどれだけ役立つのかはわからないが、少なくとも指導記録が薬剤管理指導業務の命運を握っていることだけは感じ取っていただけたと思う。

薬剤管理指導業務が歩み始めて今年でちょうど20年目となる。

「100点業務」という言葉すら聞いたことのない世代の薬剤師からすれば、指導記録に関する課題が山積している現状は、理解に苦しむかもしれない。

「入院調剤技術基本料」(100点)から始まった薬剤師の病棟進出は、「医薬分業」とほぼ同時進行で緩やかに全国に広がっていった。

その間、薬剤師法の改正(情報提供義務の新設;平成9年)・個人情報保護法の成立(平成15年)などの法的環境の変化、目まぐるしく進む電子化・IT化、リスクマネジメントをはじめとする薬剤師に対する社会的ニーズの高まりなど、時代は大きく変貌した。

激動の時代の中、当初より算定要件以外に拠り所のない指導記録は、ほとんど置き去りの状態だったと言っても過言ではない。

今後、薬剤管理指導業務が文字通り成熟していくためには、指導記録に関する議論をもっともっと深めなければならない。(了)

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病院薬剤師としては希少なブロガー・YouTuberです。「病院薬剤師って素晴らしい!」を主宰しています。私の商品は「もうひとつのフォーミュラリー」(kindle出版しました!)こと、#クラウド型医薬品集 です。その有用性とメンテナンス代行業(#フォミュ起業)に関する情報を発信しています。😀
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